11月1日(火) 日々
◆晴れたり曇ったり。
◆『ガイアの夜明け』は女子ゴルフに関わる企業競争。ゴルフをまったくやらないのだけど、ああいう開発者たちのこだわりというか、気持ちはよくわかる気がする。モノを作るという部分で。
◆R社のSさんから電話。最終の直しについて確認。がんばります。
◆幻冬舎さんから「パピルス」創刊3号がとどく……あれ? この間もらったのにー。
◆観光客の方、札幌駅前及び大通公園、すすきのなどは条例により歩道で煙草が吸えません。罰金取られますよ。ご協力を。
◆もちろん僕は喫煙者ですが、守ります。
◆ひたすら執筆する日々。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」。
11月2日(水) 日々
◆曇り。少し暖かい。
◆最近、クイズ番組が多いのはどうしてなんだろう。みんな自分の頭の退化が心配なのか。そうなんだろうな。
◆R社さんから赤字原稿が届く。
◆新しい「西遊記」が始まるそうで、三蔵法師には深津絵里さん。もうそれだけでオッケーです。観ます。思えば故・夏目雅子さんの三蔵法師にはくらくらしたものだ。堺正章の孫悟空もはまり役だったよなぁ。今回は香取くんだそうで、ずいぶんデカイ孫悟空。
◆「まんが日本昔ばなし」が再放送になっている。ちょうど晩ご飯のときなので観てしまうのだけど、いやぁなごむね。今日の話は悲しい話だったけど。コワイし。
◆亡父は僕がまだ一緒の布団に寝ている頃、よく「お話」をしてくれた。内容は一切覚えていないけど、話をしてくれたことだけは覚えている。長男にも次男にもよくしたのだけど、覚えているのかなぁ。
◆R社「KT」の赤字修正。
11月3日(木) 日々
◆曇り。引き続き暖かい。
◆含むところはまったくこれっぽっちもないのだけど、〈スクラッチしよー!〉のCMを観ると軽くイラツクのはどうしてなんだろう。
◆倉阪鬼一郎さんのサイトをたった今観てびっくり! 御婚約! おめでとうございます! しかも、え? 奥さんになられる方は一回り以上も年下なんですか? 倉阪さん、僕とほぼ同い年ですよね? うらやましいったらありゃしない(^_^;)。
◆いやー嬉しい話題って本当にいいですね。こちらも楽しくなります。
◆林海象監督の「探偵事務所5」。濱マイクもこの構想の一部なのかぁってマジかよ。いや楽しそうだからいいんだけどさ。それにしてもこのサイト、ネットシネマがどうしてもうまく観られないんですけど、Macだからでしょうか……。悲しい。
◆R社「KT」の赤字修正。もう少し。
11月4日(金) 日々
◆晴れ。暖かい日が続く。
◆コンビニのゴミ箱に自分の家のゴミを捨てていくバカがいる。世の中にたくさんバカがいるんですが、その頭の中を誰か調べてもらえませんか? でも調べる学者も学者バカだったりするんだよねこれが。
◆誤解をされるようだけど、僕はゲームシナリオを書いていたけどゲームをたくさんやっているわけじゃない。むしろほとんどやっていない。今まで書いた小説がゲームから何かインスパイアされた、ということはまるっきりありません。
◆新潮社のGさんからメール。「TK」の内容について少しやりとり。
◆集英社のWさんからメール。「TBW」の取材についてやりとり。
◆幻冬舎のIさんから電話。進めている短編「TO」について、どうやら掲載されそうかな?
◆R社「KT」の修正。東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。
11月5日(土) 日々
◆晴れ。暖かい日。
◆久しぶりにスカパー! で映画を観た。クリント・イーストウッドの「ペイルライダー」。実はクリント・イーストウッドのファンだ。出演映画はほぼ観ているはず。どれがいちばんとは絶対決められないけど、西部劇、という中なら近年の中では「許されざる者」だろうか。もちろん「ダーティ・ハリー」も大好きなのだけど。
◆他に好きな俳優といえば、うーん誰だろ。ジャン・レノはいいね。出演作選べよって感じもするけど。日本では緒形拳さん、山崎努さん(必殺コンビ!)。渋好みだなオレって。
◆少し執筆に疲れていたので休養ってことで今日は「スウィング・ガールズ」も観た。この映画が大好きというわけでもないんだけど、単純にビッグバンドジャズは楽しい。身体が自然に動く。「ホームタウン」の中でばあちゃんの趣味をビッグバンドジャズにしたけど、あれは僕の趣味でもある。
◆肩が痛い。いや四十肩というわけではなく、持病のようなものだろうか。二十代の頃からときどき右肩の関節部分が痛むのだ。こう、なんというか噛み合わせが悪いというか、そんな感じ。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。
11月8日(火) 初重版
◆曇り後雨。いよいよ雪が降りそう。
◆嬉しいニュースが二つ。
◆東京創元社のKさんからメール「HEARTBEAT」(東京創元社ミステリフロンティア)の重版決まりました、とのこと。ありがとうございます。デビューして初の重版・増刷です。発売から半年かかっての増刷。望んでいただいた読者の方と東京創元社の関係者の方に感謝します。素直に嬉しいです。正直、ホッとしました。このまま何冊出してもダメなんだろうかと思い始めていたので(^_^;)。
◆幻冬舎のIさんからTEL。進めていた短編が幻冬舎さんの文芸誌「パピルス」12月発売号に掲載されるとのこと。ありがとうございます。タイトルは仮題として『TO』としていたものです。この短編は今までとは違うスタイル(文体ではなく手法)で書いてみたものなので、僕としても読者の皆さんの反応が気になります。ぜひ感想をお寄せください。そしてまだ言えないけど単なる短編では終わらない予定なので、ぜひ注目を!
◆「俺が歌えばハウンドドッグですから」。素敵だ(^_^;)。25周年のロックバンド、ハウンドドッグ。僕が高校生の頃からずっと活動している息の長いグループだ。ファンというわけではないのだけど、初期のころの曲には好きなものも多い。最大のヒット曲『フォルティシモ』はど真ん中直球の歌詞で、少し恥ずかしいのだけど、実は人生の節目でかなり悩んでいた頃(23歳ぐらい)にこれを聴いてしまって心揺り動かされた覚えがある。あきらめない。そういう思いを再び思い起こさせてくれた曲。がんばれ大友さん。俺もがんばる。
◆パフィーがサンクスギビングディのパレードに招待されたそうだ。向こうの記者会見場で特別な歌手として紹介されたりして、いいぞぉやれやれぇとニヤニヤしたくなる。そのまま力のヌケただるだるなままでだらだら行けー。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。新潮社「TK」幻冬舎「Z」ネタ詰め。
11月10日(木) 初雪
◆曇りときどき雪。
◆昨日、初雪が降った。老いも若きも「初雪だぁ」と思うのは雪国ならでは。喜ぶのは犬と子供たち。猫はこたつで丸くなる。今日はコートを着て外出したけど、外を歩くのはわずかな距離であとは地下街とか建物の中。さすがに少し暑かった。
◆Jリーグ、元日本代表の相馬が引退。いいサイドバックだった。お疲れさま。
◆パリは燃えているか? という言葉を思い浮かべたのは40代以上だけだろうな。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。新潮社「TK」幻冬舎「Z」ネタ詰め。
11月11日(金) 日々
◆曇りのち雨。
◆郵便受けになにやらずしりと重い本が。新潮社さんから「新潮社100年」という社史をいただきました。ありがとうございます。歴史ある出版社ですから、社史と言ってもとにかくマジでおもしろい。しばらくの間読みふけってしまいました。新潮社クイズに答えられそうです。
◆しかしこんな立派な本を、僕のような末端の物書きにまで送っていただけるとはありがたい。
◆SONYから新発売されたリニアレコーダーを見て、つい昔を思い出してしまった。僕は中学校時代放送部に所属していて、当時はカセットレコーダーが主流の時代で、新発売されて話題だったのがSONYの「デンスケ」と呼ばれたカセットレコーダー。野外や屋内での生録音がメインのレコーダーで、まるで放送局のプロが使うようなデザインや様々なオプションが話題になって人気の品だったのだ。もちろん高価で中学生に買えるようなものじゃない。そこで部の顧問を説き伏せて予算で買ってもらった。とにかくもう嬉しくて、そいつを担いでありとあらゆるクラブの大会取材とかに飛び出していったものだ。
◆なんだか久しぶりに物欲が。
◆探査機「はやぶさ」の記事。手前みそで恐縮だけど拙著「そこへ届くのは僕たちの声」と重なって気になってしまう。
◆イヤな事件は日々起こる。心の中の闇の部分、という陳腐な言葉をどう扱えばいいのか。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。新潮社「TK」幻冬舎「Z」ネタ詰め。
11月12日(土) 日々
◆曇り。寒い。
◆高校生が起こしたと思われる事件が続いた。若者だからどうこうではなく、どんな年齢の子だろうと事件を起こす可能性はある。
◆殺すということは、単純に怖い。その瞬間も、その後もすべてが怖い。その怖いという感情の中に、悲しさや辛さも含まれていく。その怖いということがわからない人がいるのだろうか。わからなくなる瞬間があるんだろうか。
◆事件のある度にこうやって何か言葉にしてみようと思うのだけど、どう考えても上滑りしていく。
◆姉から携帯に電話があった。何かと思えば某新聞社の方が知人である姉の弟(私です)が小路幸也だと今日初めて知って(酒の席で)、嬉しくなり電話で話したいとのこと(^_^;)。何やら喜んでいただけたようなのでこちらも嬉しい。よろしくお願いします。
◆読書経験という意味で、姉の存在は大きい。読書家だった姉のおかげで家にはいつも本が溢れていたし、初めて読んだ江戸川乱歩の少年探偵シリーズも姉が借りてきたものだった。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。新潮社「TK」幻冬舎「Z」ネタ詰め。
11月13日(日) 日々
◆晴れたり曇ったり。
◆うー。せっかく上位陣が昼間の試合で負けてくれて、チャンスなのにコンサドーレ札幌は3-0で負け。これで昇格の望みは消えた。いや数字上はまだあるけどね。が、冷静に考えればこれが今の実力。このまま残り4試合を乗り切れば中位は獲得できる。そしてそれが今期の目標でもあったのだから。着実に成長はしているが、ここから上に行くためにはさらなる連携と個々の気持ちの問題。
◆偶然ですが、昨日江戸川乱歩の話をしたら、本日ポプラ社さんから荷物が届く。江戸川乱歩少年探偵「怪人二十面相」「青銅の魔神」(文庫版・ポプラ社)をいただきました。Yさんありがとうございます! めちゃくちゃ嬉しいです。最初の読書体験がポプラ社の「青銅の魔神」でした。それ以前にも何かを読んでいたのかもしれないけど、それが吹き飛ぶほどのおもしろさに、学校の図書室通いが始まりました。
◆ドラマ「トリック」がスペシャルで。思えば最初の深夜ドラマのときに初回を観て「これはおもしろいぞ!」とこの場で叫んだ記憶がある。あれから何年経ったんだろう。
◆もちろん許せない犯罪なのだけど、不謹慎なんだけど思わずにやっとしてしまった事件。これ。小説の中でなら、犯人は相当慌てる若造か、子供好きとして描かれるだろう。
◆ここ二三日どうにも調子があがらずに、執筆のペースが遅い。正直焦っている。マズイ。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」。
11月16日(水) 日々
◆昨夜、雪が降って少し積もっていたけど、昼間に融ける。で、夜は凍る。道路が滑って危ない。
◆またかよ。なんだこのニュース。脚本上、舞台の上で煙草を吸い始めた役者に向かって「煙草を消して!」だと? しかもその後、脚本を変えて上演しただと? わかったよ。もう好きにしてくれ。煙草飲みは精神異常者と決めつけて全員強制入院させて税金で飯食わして治療してくれよ。そうしてくれ。
◆サッカー日本代表はW杯初出場を決めたアンゴラと親善試合。おそらくはまるで本調子ではなかったアンゴラ相手に前半は素晴らしい攻撃を見せた日本。ところがゴールが遠い。まぁバーを叩くという運不運はあるにせよ、入れられなかったのは事実。結局松井の終了間際の1点で勝つには勝ったけど、内容から言えば最低3-0で勝たなければいけない試合だったかな。とは言っても、前半の攻撃は見事だったし、入らなくて膠着した部分で切った松井と大黒、阿部というカードが実に有機的に機能したのも事実。そしてアフリカ勢の身体能力を怖がって見極められなくてパスミスも多かったのも事実。
◆幻冬舎さんから「俳優 松田優作」をいただく。Iさんありがとうございます! ファンなんです。
◆相変わらず調子が上がらない。いつものダウナーになる病い。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」を進める。
11月18日(金) 上京
◆東京は晴れ、いい天気。そして暑い。
◆集英社さんの柴田錬三郎賞などの受賞パーティに出席と、取材のために上京。
◆まずは17日のパーティ。滅多に会えない担当編集さんたちと会場で立ち話。集英社のIさん、お仕事待ってます。同じくWさん、今回はありがとうございました。取材もさせてもらって。頑張ります。講談社のAさん、ありがとうございました。悩みながらも進めます。幻冬舎のIさん、ゲラあとでやります。小学館のMさん、お疲れさまでした。初めてお会いした双葉社さん、徳間書店さん、何かありましたらぜひお声掛けを(^_^;)。そして東京創元社のKさん他皆様、すいませんでしたなかなか会場で会えなくて。米澤穂信さんとも初めましてのご挨拶。ゆっくりお話したかったんですけどすいませんでした。
◆そして一年ぶりの津原泰水さんと、ご紹介いただいたBLを書いているおぎわらけいさんとお話していると、なんと! あのチャボさんが会場にいるという情報! RCのチャボさんですよ! 日本を代表するギタリスト仲井戸麗市さんですよ! 津原さんと「うおーっ!」と叫びながら集英社のCさんを先頭にしてサインを貰うべく突進して、もう帰ろうとしていたチャボさんを掴まえて握手&サイン攻め(^_^;)。いやもう感激の一晩でした。
◆そのまま柴田錬三郎賞を受賞した橋本治さんの二次会へ出席。橋本治さんといえばもう僕は広告屋時代から憧れの人で、今回間近でお目にかかれて最高でした。会場ではこれも一年ぶりの金原ひとみさんも交えて、津原さんやおぎわらさんたちと一緒に濃い作品論から冗談話まで。大森望さんにもそこでお会いしてお久しぶりですとご挨拶。お元気そうでなによりでした。
◆その後、津原さんに連れられてあの「ですぺら」へ。津原さん本当にお世話になりました。
◆18日は、集英社さん「TBW」のイメージ固めのために都内某所をそぞろ歩き。お昼時にM社さんのSさん、Oさん、Iさんとお会いして軽くお食事と打ち合わせ。ごちそうさまでした。頑張りますのでよろしくお願いします。小学館のMさんともお茶を飲みがてら軽くお話。お疲れさまでした。その後も一人で某所をぐるぐると歩き回り、小説の舞台となる町のイメージを掴む。写真などは撮らないで、町の空気を肌で感じるようにする。猫たちとも遊んだりして。取材を許可してくれた集英社のCさんWさんありがとうございました。
◆帰ったら集英社さんから「小説すばる」が届いていました。ありがとうございます。
◆え? 黒田研二さんの新刊に僕の名前が? きいてないよー(^_^;)
◆夜の便で帰宅。
◆疲れたので休養。
11月19日(土) 実録・電車男は恥ずかしい
◆曇り。雪が融けてびちょびちょ。
◆実は昨日の夜の飛行機で帰ってきたのだが、夜の9時過ぎ、自宅へ向かう電車の中で〈電車男〉をやってしまったのだ。
◆僕の隣が空いていた。そこに向かい側斜めに座っていた中年男がすすすと席を移ってきた。途端にぷんと匂う酒臭さ。まいったなと思って正面を見る(向かいのガラスに映るからね)。中年男はいかにも酔っぱらいの素振りを見せる。その隣には可愛らしい十代とおぼしき女性が座っていた。中年男はそのうちにその女の子に声をかけだしたのだ。
◆最初は放っておいた。しつこくではなく、単発に掛ける声。女の子も寝たフリして無視している。まぁどこにでもある光景だ。僕もiPodで音楽を聴いていたし。ところがふと見ると中年男はその女の子の手に、自分の手を伸ばした。お? と思うと引っ込める。しょうがねぇなぁクソ親父と思って注意していると、ついに手を握ろうとした。女の子も慌てて手を引っ込めた。
◆その間、十秒ほど。実は悩んでいた。立っている乗客はいなかったが、満席だった。正面には若い男もいる。血気盛んな君たちがこのクソ親父に注意してくれないものかね、と思っていたのだ。けれども、誰もやらない。しょうがないので、やりました。また女の子の手を握ろうとした中年男に「なにやってる」と。太ももを思いっきり叩いてやりました。
◆「あ?」「おとなしくしてろ」「なにおぅ?」「手を握ろうとしただろ? このままおとなしくしてたら黙っといてやる。わかったか?」
◆それでいったんはおとなしくなった中年男。同じようにシーンと静まり返る車内。ところがむかっぱらが立ったのか、今度は僕にからんできた。
◆「なんだぁこの若ぞうがぁ!」(いや若くないぞ。お前と同級生かもよ)「俺がなにしたっていうんだ!」(やっただろ。大声を出すんじゃないよ)。もうこの時点で僕は恥ずかしくなっていた。酔っぱらい相手に口喧嘩するほど不毛なものはない。無視していた。「いいかぁ、おまえはなぁ! おれがなにしたっていうんだぁ! かっこつけやがってぇぇ!」(あーうざい)。隣では被害者の女の子も心配そうに僕を見ていた。周りの乗客もちらちら僕を見ている。やめてくれそんなに注目しないでくれ。「なんとかいえよぉこのやろうぉぉ!」。
◆耳元で怒鳴られて、キレた。コンマ一秒で立ち上がってクソ親父の髪の毛を鷲掴みにして窓ガラスに押し付けて叫んだ。「おとなしくしてれば良かったのになぁおっさん! 次で降りて地獄に行くか、車掌を呼んで警察に行くかどっちか選べ!」。騒然とする車内。口をパクパクさせる中年男。慌てて飛んできた車掌。「どうしました!」。車掌を振り返り、僕は舌打ちする。「命拾いしたな、おっさん」。
◆すいません、最後の台詞は作家の血が騒いでフィクションになりました(^_^;)。あー事実は、他の乗客の一人がようやく立ち上がってくれまして、その酔っぱらいを責め立てまして、そして車掌もやってきまして、後は車掌さんにまかせたと。騒ぎの最中に女の子も自分の降りる駅が来たので、僕の方を見ておろおろしていたので、「いいから降りなさい」と手で合図してやるとぺこんと頭を下げて降りていきました。
◆その後、自分の降りる駅が来るまでの長かったことといったらもう。というわけで、正義の味方はかなり恥ずかしいです。もう二度としたくない。今さら若い女の子と出会ってもしょうがないし。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、幻冬舎「TO」のゲラ。
11月21日(月) 東京雑景
◆晴れ後雨霙。
◆先日、東京の某所を取材のために一人でうろうろしていた。天気の良い暖かい日で、まさに小春日和だなと呟いていた。平日の真っ昼間なので当然のように辺りに人は少なく、ゆっくりとゆっくりと歩いていた。ふと見ると、人一人が通るのにやっという中小路に何か色の付いた物が落ちている。なんだろうと思って入っていくと、オレンジ色の子供のトレーナーだった。たぶん、幼稚園ぐらいの子供が着るぐらいのサイズ。汚れているわけじゃなく、むしろ洗って乾いたばかりといった感触もあった。上の方に物干し台でもあって落ちたんだろうかと見上げても、そこに物干し台も、他の洗濯物が干されている窓もなかった。さて、どうしたものかと手にしたまま中小路を抜けると小さな商店街で、八百屋さんが角にあり、そこの若主人らしき人と眼が合った。トレーナーを手にしながら事情を話すと、僕より十は確実に若いと思えるちょっと元ヤンキー入ってましたという感じの若主人はニカッと笑って「預かっとくよ」と言ってくれて、トレーナーを手渡すと「ほい、代わりにこれ持ってきな」と同じオレンジ色のみかんをひとつ手渡してくれた。僕も笑って素直に礼を言って受け取り、歩き出した。
◆空港に少し早く着いてしまって、搭乗口前のロビーで座っていた。咽が渇いたなと思って自販機を見たけど、思い出して鞄からみかんを取り出して食べだした。僕の目の前に席には若いお母さんが座っていて、その膝の上には赤ちゃんが座っていた。よいしょ、という小さな声がして、お母さんは赤ちゃんを抱きかかえ、つまり赤ちゃんは膝の上に立っちして、僕と眼があった。不思議そうな顔をして見るので笑いかけるとすぐに笑顔になった。小さな声を出して僕に向かって手を伸ばす。みかんを一房差し出すと、また小さな声を出して手を伸ばす。みかんを食べても大丈夫だと見当はついたけど、そのままあげるわけにもいかない。お母さんが赤ちゃんの動きと声の様子に気がついて後ろの僕を見た。「みかん、あげてもいいですか?」「あらっ、すいません!」笑顔が弾けた。若主人にもらったみかんは半分が赤ちゃんのお腹の中に消えた。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」。
11月22日(火) 札幌雑景
◆小雪がちらつく。
◆講義に向かうために昼過ぎの電車に乗っていた。この時間に電車が混むことはほとんどないのだけど、今日は乗り込むとほとんどの席が埋まっていた。空いていたのは若い男の隣と若い女性の隣。迷わずに若い女性の隣に座った。スケベ心ではなく、正直その若い男は汗臭そうな雰囲気だったのだ。女性はたぶん19、20ぐらいの年齢で短大生か専門学校生だろうという雰囲気だった。半透明なファイルケースの中には教科書やノートとおぼしきものもあった。彼女は膝の上にそのファイルケースを載せて、その上にメモ帳を拡げていた。シャープペンシルを手にして、何かを書いていた。僕はiPodで音楽を聴きながらちらちらとそれを見たのだけど、文章ともいえない単語やフレーズの羅列だった。それを書きながら彼女の唇が小さくほんのわずかに動いているのに気づいた。ボリュームを下げて耳をすませると彼女は短い旋律を口ずさみながらそのフレーズをメモしている。歌を作っているんだなとわかった。彼女は電車のリズムに揺られながら、歌を作っていた。
◆寝不足のせいか寝てしまって、気配に気づくと隣の彼女が途中の駅で降りるところだった。学生の街なのでやはり短大生だったかと納得し、ふと見ると彼女の座っていた席にシャープペンシルが落ちていた。顔を上げると彼女の姿はもうなかった。白い半透明のシャープペンシル。きっと100円か200円で買えるような品物だけど、小さな豆粒のような陶器のカエルが付いていた。紐は明らかに普通の毛糸だった。手作りで付けたんだなと思って、僕はメモを取り出した。〈札幌行き快速●:●の電車内。降車駅は●●。学生風の女性〉そういうメモを書いて、札幌に着くとキヨスクのおばちゃんにセロテープを一枚もらってシャープペンにしっかりと貼り付けて、駅事務所に持っていった。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」。
11月26日(土) 日々
◆晴れ後曇り
◆ここ何日か今までになく調子が悪い。書けない。今日なんかは朝から夕方まで頑張ったのにわずか二枚も書けなかった。軽くヤバイどころか相当ヤバイ。とここに書いているうちはまだ大丈夫だと思うが。しかしまいった。
◆そんなヤバイ中、昨夜は友人達とご飯を食べてきた。予定していたことだし気分転換にもなるかと。元同僚たちでいつものコピーライター×2(一人はプロトくん)、グラフィックデザイナー×2、ディスプレイデザイナー×1である。皆僕の小説を読んでくれているのだが、いい人しか出てこないのに不満があるようだ。根が善人なんだねぇと僕がうそぶくと「お前はそんな奴じゃない」と皆が口を揃えて言う。どうやら僕は相当の悪人らしい。しかしそんな悪党の僕とつるんでいるんだから彼らも悪党だろう。昼間に気分転換で息子の「one-piece」を読んでいたのでふとじゃあ僕はルフィかと考えた。とりあえずこの中ではいちばんメジャーに近い位置にいるので親分でもいいだろう。となると、プロトくんはその容貌と語り口からしてサンジか(格闘技も好きだし)。じゃあもう一人のコピーライターのTはゾロにしといてやるか。女性陣はちょうど二人なのでグラフィックデザイナーのOさんは毒舌がバリバリ効くのでロビンにしておこう。ディスプレイデザイナーのCさんは社長だから航海士のナミでいいだろう。もう一人のグラフィックデザイナーのKくんはこれはもう雰囲気も表情もチョッパーで決まり。あれウソップがいないか。嘘つきでよく舌が回って……しまったウソップは俺だったか。
◆上記のメンツ以外には何も面白くない文章だった。
◆チャボさんに本を送ったのだけど、今日お礼状が届いた。めちゃ嬉しくて少女のようにときめいてしまった(^_^;)。
◆東京創元社「DHB」、集英社「TBW」、講談社「D」。