1月1日(火) 謹賀新年 ◆晴れたり曇ったり雪が降ったり。 ◆2008年のお正月を皆様いかがお過ごしでしょうか。今朝の明け方までずっと書いていて、今日はさすがに指と頭の休息。天皇杯決勝をテレビを観たり寝たり買い物に出掛けたり。なんとか正月らしい気分を味わっています。ま、それも明日までなんですが(^_^;)。写真はピーター・シンコッティというアーティストの〈EAST OF ANGEL TOWN〉というアルバム。〈グッバイ・フィラデルフィア〉というシングルが今スマッシュヒットになってますね。いい歌です、こういうの好きです。まぁ日本人のしかも僕個人の勝手な感覚ですけど〈さようならフィラデルフィア〉というタイトルだけでいい情景を想像できてしまう。これが〈さようなら旭川〉だったら演歌だよね。いや演歌が悪いわけじゃないけど。〈さようなら札幌〉でも駄目だなぁ。〈さようなら東亰〉でなんとかポップスの世界に持ってこれるか。などとどうでもいいことを考えてしまった。 ◆今年も、どうやら作品を書き続けることができそうな感じです。昨年後半はとにかく締切りに追われてしまって反省点も多々。今年前半もそんな感じなんですが、なんとか乗り切ります。 ◆甘えるな、浮かれるな、落ち着くな、焦るな。そんなふうに言い聞かせる正月の夜。どうぞ今年もよろしくお願いします。 1月2日(水) 腰が痛い ◆晴れたり曇ったり。 ◆実家から自宅に帰ってきたら雪がもうもうもう。20センチぐらい積もっているじゃないですか。隣の家の長女さんに訊いたら「昨日の夜に一気に降ったんですー」とのこと。家の中に入る前に一家総出で雪かき。腰が痛いってばさ。しかし息子が二人とも戦力になるぐらい大きくなったので助かる。写真はメジャーデビューアルバムを聴いて「これはいい!」と思った〈羊毛とおはな〉の新作〈こんにちは。〉。これもまた素晴らしいじゃないですか。なごむ。 ◆徳間書店さんから『本とも』2月号をいただきました。ありがとうございます。今号から隔月連載で古い町の古い家に住む三姉妹を主人公にした『早坂家のこと brother sun』が始まりました。創刊号に書いた短編『ブラザー・サン』の連載化です。しかもなーんと巻頭特集で僕のインタビューです。14ページにわたってインタビューと今までの全作品解説もありです。ありがとうございます本当に。インタビューの聞き手はあの杉江松恋さん。本当に楽しい時間でした。この本は徳間書店のPR誌なのであまり本屋さんでは見かけないと思いますけど、ぜひ。ああだこうだ喋ってます。こういう雑誌です。 ◆これからが冬本番の北海道だけど、それでも毎年正月になると初春の文字に嬉しくなる。これから季節は冬にではなく春に向かっていくのだ。何もかもが芽吹く春。そこに向かっていこう。 1月3日(木) 日々雑感 ◆曇り。 ◆仕事は山積みになっているんだけど、世間では正月だ。次男はまだ小学生だ。スキーに行かなければならない。後回しにしていくとどんどん詰まってくるので天気の穏やかな今日行こうと朝に決めて行ってきた。11本ほど山を滑り降りて帰ってくる。きっと明日は筋肉痛だ。9年前に会社を辞めて書くことで生活しようと決めたときに〈広辞苑〉を買った。それまでは会社の備品で済ませていたのだけど、これからはそうもいかないし、自分で持つことで意識を高めたいと思った。ほとんどはパソコンに入っている辞書で事足りてしまうのだけど、ときどきは机の横に置いてあるこの分厚い辞書を手にする。一生これを使い続けられることを夢見る。 ◆年賀状。仕事関係の方々に出した分をチェックするのを忘れていて、届いた年賀状を見て「あれこの人出したかな?」と迷ってる。もし二枚届いたらごめんなさい。ま、めでたい春ってことで(^_^;)。 ◆本を読んでくれた人から、時折メールをいただく。嬉しい感想やありがたい励ましなどたくさんいただく。自分の作品に何かを感じてくれる方がいるということを、忘れないようにしよう。 ◆以前、拙作『カレンダーボーイ』(ポプラ社)には、連載時とは別の単行本用の結末がある、とここで書きました。結局その結末は使わなかったのです。それを使うと、まったく違った後味の物語になったはずです。あのあっさり終わらせた部分もちゃんとあって、エンターテイメントとしてもまとまりはできたと思う。それを使わなかったのは、あれが二人にとって幸せな結末なんだと思えたからです。淋しすぎるという感想もあるようですが、僕的には、あれはハッピーエンドなんですよ。 1月5日(土) じんじゃー ◆晴れたり曇ったり。 ◆今年は初詣でに行かなかった。大した理由はないんだけど、実家に滞在する期間が短かったのでなんとなく。中一のときには「けっ」と思っていたけど中二のときに仲の良いクラスメイト皆で行こうという話になったときに心ひそかに狙っていた女の子も行くから「あ、行く行く」となった。まぁそんなもんだ。気にしない気にしない。日本の神さまは懐が深いから大丈夫。そもそも神さまだって気まぐれなんだからさ。時々思い出したように「ご無沙汰してます」と挨拶すれば「よぉ元気だったか」と笑って言ってくれるさ。 ◆写真は山川直人さん『口笛小曲集』(エンターブレイン)。こういうきちんとした漫画を書く漫画家さんが、ちゃんと作品を発表できるという環境をもっとしっかり作ってほしいと思う。もちろん、出版は商売だというのはわかっているけど、出版社は文化の担い手なんだと意味合いで。僕はそう思っている。いや自分が売れない作家であることを棚に上げてるのはわかってるけど。すいませんすいません。山川さん好きです。 ◆昔は良かったと振り返るのは好きじゃない。昔より今の方が幸せだと思いたい。そうじゃなきゃなんのために生き続けているのかと思う。ただ、新しい時代がやってくる、という実感を伴う暮らしをしてみたかったなとは思う。それはたとえば明治時代や、戦後という時代だ。 ◆これから何十年か生き続けていく間に、破壊を伴わない新時代は来るだろうか。それは、ひょっとしたら宇宙時代なんだろうか。でも、それはもう僕らが子供の頃に夢想していた現代なのに。 1月7日(月) 意図? ◆曇ったり晴れたり。昨夜はけっこう雪が降ったみたい。 ◆どうでもいいことなのだけど、気になったので書いておく。とあるバラエティ番組で妙にジャニーズメンバーを持ち上げる場面があった。僕は基本的にバラエティなんかおもしろきゃそれでいいじゃん、という荒っぽい感覚の持ち主なんだけど、その僕でさえ「?」と思うほどの違和感がそこにあった。何か意図があるのかと。で、それからしばらく経ってまた今日もとあるバラエティ番組でジャニーズメンバーを持ち上げる場面に出くわした。また「?」だ。明らかにそこで持ち上げなくてもいいだろう、という場面。何かあるのか? 芸能界がジャニーズに支配されていることぐらい明白な事実はないけど、少なくとも今までそんな場面に出くわしたことがなかったので(ネタとしての場合は別として)、変に勘ぐってしまった。やるなら、はなっから明確にしていただきたい。これはジャニーズの提灯持ち番組なんですよと。別にそれで怒りはしないからさ。そういうもんだって意識で見るからさ。 ◆写真は伝説のテレビドラマ『俺たちの勲章』。大好きだー。この時期に姉の結婚式があって、初めてスーツを作った。写真で中村雅俊さんが着てるようなスーツが流行っていた時期なので、そっくりなのを作ってもらった。5センチぐらいのヒールの靴を履かなきゃ着られないような三つ揃えのスーツ。体形はそれほど変わってないので今も着られると思うけど、実家にあるのかなぁ。 ◆スーツを着なきゃならない仕事をしたことないので、今も普通のスーツは持ってない。冠婚葬祭用のブラックスーツと、麻のよれよれのスーツが二着あるだけだ。 1月9日(水) 日々雑感 ◆雪が降ったり。 ◆ブルーレイがニュースになっている。いやー実はこの次世代DVDのことは勉強不足でよくわからないんだけど、この間買ってしまったDVDレコーダーは少なくともブルーレイ対応ではないんだ。うーん。ま、そのときはそのときか。会社にいた頃はネットワーク担当でもあったぐらいだから、その手のものには詳しい。その昔は音楽関係の仕事もしていたので音響機器にもそれなりに。つまりメカには強い。それなのに、何故かテレビ廻りに関しては無関心なんだ。録画も妻まかせでまだ覚えていない。 ◆写真はYMO&スネークマンショーの『増殖』。サイコー。 ◆出版不況のニュースは続く。本が売れていない。好きになった本はぜひ新刊で買ってほしいとは思うのだけど、耐乏生活をずっと続けていた我が身を振り返るとなかなか言えない。一昨年などは月一冊の新刊本さえ買うのをためらう生活だったから毎日図書館に通っていた。読みたい本が買えないというのは本当に辛い。図書館のありがたみも心から感じている。 ◆優れた創作者の作品は文化だと思う。その文化を広く知らしめるのはパブリッシャーだけど、育てるのはやはりその作品を買う消費者だと思う。自分も良き消費者でありたいといつも思う。まぁ僕の場合は作家の側でもあるわけで、買ってくださいと言うのは非常にはしたないとは思うのだけど。 ◆ポプラ社さんから『asta*』2月号をいただきました。ありがとうございます。こちらでは『Cow House』連載中です。ぜひ! 1月11日(金) 日々雑感 ◆雪が降ったり晴れたり。 ◆今年の冬は雪が少ない、かな? 今のところは雪かきにもほとんど苦労していない。気温も全般的に高めのような気がする。 ◆新しい冬靴でも買おうかなと思ったんだけど、考えたらずっと家に閉じこもって書いているから新しい冬靴を買っても履いていく機会が近所のTSUTAYAに行くかポスフールに行くかしかない。ムダじゃん、と思って自粛。貧乏性は抜けきらない。 ◆札幌在住の作家の朝倉かすみさんが僕の体を心配してくれている(^_^;)。大丈夫、心身ともに健康です。朝倉さんが日記に名をあげている道内在住の作家さんには一度もお会いしたことがない。実は朝倉さんともすぐにでも会えるのにまだ会ったことがない(^_^;)。偶然駅前の紀伊国屋書店とか旭屋書店とかでばったり会うと楽しいと思うんですけどね。推理作家の柄刀一さんには東亰のパーティで年に一度会う。パーティで会うとあれこれお話していただける作家さんは、津原泰水さんとか浅暮三文さんとか荻原浩さんとか西條奈加さんとか桜庭一樹さんとか金原ひとみさんとか。そういえば、来月『高く遠く空へ歌ううた』(講談社)が文庫になります。その解説を北海道生まれの西條奈加さんが引き受けてくださったとか。ありがとうございます。よろしくお願いします。新しい装幀のイラストレーターさんは僕が希望してnanomeさんにお願いしてもらったら快諾していただいた。nanomeさんも北海道生まれで、知人ではないけど広告業時代のちょっとした繋がりがあるのだ。楽しみです。よろしくお願いします。 1月12日(土) えらいッ ◆雪が降っている。明日は朝から雪かきだー。 ◆イヤなニュースもあるけど、良いニュースもある。これはえらいっ! と思わずおじさんは手を叩いてしまったニュース。下校途中の中学二年男女四人が火事現場から老夫妻を救助したというもの。記事から推察する分では大人でさえためらうような状況だっただろう。感心した後に気になるのは男二人女二人の君たちがカップルだったかどうかってことですがよけいなことですねすいません。さらにこういうニュース。学生たちよがんばれ。君たちの明日をもっと素晴らしいものにしろ。ということで写真はエレファントカシマシの『俺たちの明日』。誰にだって平等に明日は来る。それを良きものにするためには、頑張るしかない。 ◆連載五本分と書き下ろし二本分を同時進行している。それぞれの物語には必ずぴったりくる曲を選んでサントラ盤ともいうべきリストを作って、それをiTuneで流しながら書いているので、僕の部屋には常に音楽が流れている。再生回数を見ると、やはりシリーズで書いている『東亰バンドワゴン』のサントラ盤がダントツで多い。400回近く流れている。それだけ聴いても飽きないというのはすごいなぁと我ながら感心する。いつかこの曲のリストも話の種にここで公開してみようかな。 1月14日(月) 大人じゃん ◆晴れたり雪が降ったり。 ◆毎年話題にはしていると思うけど成人の日。大人になるというのはどういうことなのか。いろんな御意見があるだろうけど、基本は〈周りに気を配れるようになる〉ってことじゃないだろうか。それが自然にできるのが大人だと思う。しかし周りを見回してみると、まるで周囲に気を配っていないデカイ顔をした人たちがのさばっているし、そこここにいる。そうです、今や大人じゃない人が溢れかえっているのが現状です。勘違いしないでほしいのは、〈周りに気を配る〉と〈空気を読む〉はイコールじゃない。全然違う。それはもうハーゲンダッツのバニラと100円のバニラアイスぐらいの差があるはずだ。いやまぁえらそうなことをいえるほどの大人じゃないんですけどね。新成人のみなさん、がんばってください。写真はまだ観てないんだけどDVDを買ってしまった、くらもちふさこさん原作の映画『天然コケッコー』。早く観なきゃ。 ◆高校サッカー、優勝した流経大柏は素晴らしいサッカーをやっていた。とにかく全員がハードワークして、その動きに連動性がある。素晴らしい決勝戦でした。おつかれさまでした。 ◆20歳のときの自分を振り返ると、バイトバイトに明け暮れる毎日。でも良い仲間に囲まれて、それがすごく楽しかった。若気の至りもたくさんあったのだけど、何もかもいい経験になったと思える。 1月17日(木) MacBook Air!! ◆雪が降るし、寒いって! ◆なんと我が家近辺は昨夜マイナス二十三度になったとか。ひえええ。久しぶりだなぁそんなに寒いのは。昼間にはマイナス十度ぐらいになっていたので、まぁそんなもんかっていう寒さなんですが。むろん家の中はいつもと変わらない温度ですけど。写真は〈MacBook Air〉。いやーほんとに薄い。でもなぁ、僕が求めているラインじゃないんだよなぁ。確かに持ち運びには便利だけど、そんなに頻繁に持ち運びはしないし。今のMacBook Proで十分なんだよなぁ。なので購入対象にはならないかな。基本15インチは欲しいし。いや目の当たりにしたら買ってしまうかもしれないけど。 ◆桜庭一樹さんが直木賞! 今回は予想が見事当たりました(^_^;)。おめでとうございます! とメール送りました。親しくお話しした作家さんが受賞したのって初めてかも。なんかちょっと嬉しい。 ◆ケータイ小説が売れているこの現状をどう思うかって訊かれることも多いんだけど、基本的には特にはない。出版社は商売である以上は売れるものを売らないと成り立たない。仮に〈美しい小説〉というもののモデルがあるとするなら、確かにケータイ小説は〈醜い小説〉という場所に今現在は置かれることだろう。でもそれは多様性とかアノマリーという言葉で括られるものだろうし(多様性とアノマリーを並べることが間違っていたらごめんなさい)、もっとわかりやすくすると単なる〈物語るスタイルのいちジャンル〉が台頭してきたに過ぎないだろうし。これで出版不況が持ち直すのであればそれは僕ら売れない作家にとっても非常にありがたいことだ(^_^;)。違う側面、たとえばよくここでも書くクリエイティブの問題、芸人と素人の間に横たわる川の話に持ち込むのなら、それはちょっとかなり長い文章を書かなければならなくなるので割愛。結論だけ書くと、何度もここで書いているけど、〈矜恃と覚悟〉だ。出版社も作家も編集者も素人もそれを見失わないようにすることが、大切なんだと思う。残念ながらそれを理解し実践できる人が少ないのだろうけど。むろん、自分への戒めのためにも書いておく。 ◆ケータイだろうが、ネットだろうが、紙媒体だろうが、いいものもわるいものも転がっている。それは変わらない。いいものを見る眼だけは失わないようにしようと思っておけば大丈夫だと思う。 ◆角川書店さんから『野性時代』をいただきました。ありがとうございます。 1月18日(金) 受験生頑張れ ◆雪が降る。あなたは来ない(それはアダモ)。 ◆僕は確かセンター試験の前身の共通一次試験の最初の受験者だったはず(二回目だったかな?)。ということをこの日記でも何度も書いている。季節の風物詩だねこりゃ。今でも雪が降る北大のあの構内の雰囲気はよく覚えている。なんでもやっとくもんだ。あとからいい経験したと思えるから。大学行ったからってどうなるものでもないけど、努力したことは確実に自分の栄養になる。もちろんその栄養をきちんと実にする努力もまた必要になるんだけどね。全国の受験生頑張れ。そうではなく、働く道を歩む高卒の皆も頑張れ。専門学校に行く人も頑張れ。写真は〈畠山美由紀 with ASA-CHAN&ブルーハッツ〉のアルバム〈わたしのうた〉。畠山さんはいいボーカリストだよねー。 ◆古紙率偽造をしていた日本製紙は、亡父が僕らを育てるために身を粉にして働いていた会社だった。「空を見上げる古い歌を口ずさむ」に出てきたパルプ町のもとになった会社だ(亡父のいた当時は国策パルプという名だった)。曲がったことが嫌いだった父は、天国でどんな顔をしているだろう。 ◆えーとですね、もう言ってもいいはずなんだけど、春休みに全国ロードショーになる『うた魂』という映画。夏帆ちゃんとゴリが主演の燃える合唱青春映画です。公式サイトはここですね。夏帆ちゃんと言えば『天然コケッコー』で素晴らしい演技を見せてくれていましたが、実はこの映画のノベライズを僕がやりました。3月に朝日文庫からその文庫本が出るはずです。そのまんまノベライズするんじゃ僕が書く意味がないってんで、かなり好きにやらせてもらいました。お楽しみに。 ◆集英社さんから『青春と読書』をいただきました。『オーヴァー・ザ・レインボゥ 東京バンドワゴン』はいよいよ佳境です。よろしくお願いします。 1月19日(土) ゲラと書けの日々 ◆寒い。温暖化ってなに? というぐらい寒い日が続く。 ◆息をすると鼻の中が凍ってくっつくというのは北国の人なら経験あると思うけど、マイナス10度を越えないとそうはならない。そういう日が二、三日続いているのだ。記録じゃないのかなぁ。ここ数日ゲラがどんどん山のように届いているんだけど、宅配便のお姉さんが持ってくる封筒が冷凍食品状態。ゲラ冷えてます。そうそう、我が家によくやってくる宅配便のお姉さん。いつも出版社に荷物を出したり出版社から届いたりしている僕に好奇心から眼をキラキラさせてこう訊いてきた。 「漫画家さんですか?」 「いえ、あのー、小説家です」 「あー」と言った彼女の眼に明らかに失望の光があったので、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。ごめんね期待を裏切ってしまって。まだ名もない作家なんだ。 ◆写真は懐しいテレビドラマ『謎の円盤UFO』。クオリティ高かったよねーこのドラマ。好きだったなーストレイカー司令官。あのクールさとどこか悲しげな瞳が魅力的だった。 ◆UFOは見たことある。旭川市立明星中学校放送部と美術部の同期のみんな覚えていないだろうか。夏のキャンプで出掛けた牧場で見たあのUFO。先生方も驚いていたよねー。 ◆またせっぱつまってきた。何百枚という原稿と何百枚というゲラが俺を待っている。書くぜ。 1月22日(火) 先生 ◆曇ったり晴れたり。 ◆先生というものがいない。だいたい人の話を聞かない性分だ。小さい頃から下手に小器用だったので、話を聞かなくても、あるいは一を聞いて十を知るタイプだったのでそうなってしまった。なので、恩師と呼べるような人がいない(もちろん学校時代にお世話になった先生方は皆恩師だけど、そういう意味ではなく)。文章もデザインも何もかも独学だ。あるいは仕事をしながら失敗しながら学んだ。だから、恩師がいない。一人でうんうん悩んでいると、恩師の顔を見たくなる。先生にお会いして「どうだ元気でやってるか」と言ってもらいたくなる。そういう人が欲しかったと思う。でもそうではない道を選んでしまったんだよな。でもやっぱりときどき「先生、バスケがしたいです」と泣きながら甘えたくなるのだ。あ、違うか。ネタがわからない人はごめんなさい。写真はちあきなおみさんのベストアルバム。ファンではないし、実際知ってる曲は二、三曲しかない。でも、すごいボーカリストだと思う。以前CMに使われた「黄昏のビギン」という曲などぞくっとするぐらい、すごい。今は活動を休止していらっしゃるそうだけど、ぜひまた復帰していただきたい。 ◆小学館さんから『きらら』をいただきました。ありがとうございます。連載している『のこされるもの』はいよいよ佳境です。あと二、三回です。よろしくお願いします。 ◆あぁまたゲラが来た。まずい。なんか机の上にゲラがうずたかく溜まっている。幸せだけど。 1月26日(土) 鍋 ◆雪が降る札幌。 ◆どうにも筆が(指が)追いつかなくて更新ができていない。スランプというものは基本的にはないんだけど書けないときもある。書こうと思えば書けるけれど、どう言えばいいか。うまくなじんでいかないのだ。そういうときの文章はどのみち後からばっさり消してしまうことが多いので、最近はなじまないと書かない(書けない)。頭の中の言葉と、指から打ち出す言葉。その二つがぴったり合わないとダメな感じ。写真は新発売の桜色のiPodnano。かわいいねー。まさにpretty in pink。この春先の女性へのプレゼントにどうでしょうかね。 ◆オシムから岡ちゃんに交代したサッカー日本代表の初戦。まぁこんなものかな、という印象。新しい選手に新しい監督。練習期間も短ければこの程度のパフォーマンスが限界かなって感じ。まだやりようがあるだろうし、もちろんチームとして熟成もあるだろうし。思った以上にチリのパフォーマンスが良かったのも事実。それにしても大久保決めろよ。君は素晴らしいFWだと思うんだけど、何故か代表戦では決定力ないよねー。 ◆いつもの元同僚たちと遅めの新年会。鍋を囲んで。しゃべることがだんだん年寄り臭くなっていく。 ◆祥伝社さんから『小説NON』2月号をいただきました。〈ミュージシャンシリーズ〉で『その夜に歌う』という短編が載っています。このシリーズですが、あと1回の連載で終了して今年中に本になる予定です。シリーズではありますが、初めての短編集ということになります。よろしくお願いします。 1月28日(月) テンション急下降 ◆曇り。 ◆ここ何日かマジでテンション落ちている。なんかもう自分はミジンコ以下なんじゃないかいやそれはミジンコにも失礼かっていうぐらい落ちている。このまま雪の中に埋もれて春になるまで誰にも見つけられずに過ごしたいっていうぐらい落ちている(ごめん少し嘘ついた)。まぁ要するに書けないのだ。書けないから体調悪いのか体調悪いから書けないのか要するにちっとも進まないのをテンション落ちたという部分に責任転嫁しているのだ。言ってることがわけわからないだろうけど、私にもわからない。 ◆なので、テンション上げようと〈サンボマスター〉の新譜を聴いてみた。あぁそうだよな、音楽の子供は歌わなきゃ駄目だし、物語の子供はお話しを書かなきゃ駄目だよな。ありがとうサンボマスター! 年下のお前たちに励まされたよって文章のテンションも変ですが、これはわざとです。 ◆まぁ調子が悪いのはマジなんですが、そんなこと言ってられない。書かなきゃ。ゲラ返却しなきゃ。 ◆排雪が入る。排雪というのは文字通り、うずたかく積もった道路脇の雪を排雪マシンカーとダンプで豪快に排除する雪国でしかお目に掛かれないものです。大きなマシンは見ていると飽きません。排雪でググるとその様子が見られると思います。 ◆先生、バスケがしたいです。 1月31日(木) 淋しい悲しい辛い ◆雪雪雪雪。 ◆エルゴソフトというソフトメーカーが自社のワープロソフト〈egword〉の販売を終了するという発表をした。サイトはここ。わからない人にどう教えたらいいだろう。今まで20年間、アメリカ生まれのMacというパソコンを愛して使い続けてきて文章を書いてきた。日本語を上手く使えないMacのためにエルゴソフトの〈egword〉は一生懸命に日本語を教え続けてきて〈正しい日本語ワープロソフト〉を作り続けてきてくれた。今現在使っている〈egword universal〉は完成品に近いものだ。特に僕のような長い文章を、小説を書く人間にとっては唯一無二と言っていいほどの。例に挙げて申し訳ないが、マイクロソフトのWordよりもはるかに使いやすかった。20年間使い続けてきた。それが、消えてしまうのだ。お気に入りの万年筆がもう二度と手に入らないで、しかも数年後には壊れてしまうことが、判ってしまったのだ(ソフトのアップデートが消えるのだから、MacのOSの変化と共に使えなくなっていく)。これからどうしようかと途方に暮れている。写真は、その〈egword universal〉で書いた僕の作品の一部だ。この画面で書いていけるのもどれぐらいなのか。余命宣告された患者のような気持ちだ。 ◆とはいえ、今まで頑張って素晴らしいソフトウェアを作ってくれたエルゴソフトのスタッフの皆さんには、感謝の気持ちを伝え、お疲れさまでしたと言いたい。ありがとうございました。 ◆けれども、執筆は続く。将来のことも考えなきゃならない。先程酷評してしまったマイクロソフトのwordだけど、ついこの間〈Microsoft OfficeMac2008〉が発表された。〈Word〉もかなり改良されたと聞く。実際問題データで入稿するときには〈Word〉データでしなければならないのが現状なので、サブとして使っていて〈egword〉に次ぐ存在だったことは間違いない。買ってみようかと思う。