文庫本

「空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction」講談社

初めての文庫本。〈のっぺらぼう〉を視てしまう少年、というアイデアから始めた物語。構想中に父の死などがあり、自分が幼い頃を過ごしたカタカナの町〈パルプ町〉の思い出を整理してみるのもいいのではないかと思い、書き進めたもの。ミステリとかホラーとかファンタジーとかそういうジャンルにはまったく拘らずに書き上げた。良くも悪くも、すべてのものが詰まっていると思う。

「高く遠く空へ歌ううた pulp-town fiction」講談社

デビュー作のシリーズでの二作目。前作の世界観を受け継ぎながら〈パルプ町〉の物語から〈解す者〉という運命を背負った者たちの物語にしようとした作品。続編として同じ舞台、登場人物を使って展開するのは簡単だったけど、あえてそこから出て、外へ向かってみた。
もちろんいずれまた「パルプ町」へ戻っていこうと考えている。まだ書きたい事はたくさんあるから。

Q.O.L.
「旅立ち。十の物語」メディアファクトリー

「卒業」をテーマにしたアンソロジーに参加。僕の作品は『あなたが生まれた季節』。女の子の卒業に、お母さんとお父さんの物語を絡めた家族小説。
女の子を主人公にした物語は、実はとても書きやすく感じる(読者が共感してくれるかどうかは別の話だけど)。姉が二人いたという環境の影響もあるだろうし、小さい頃から少女漫画ばかり読んでいたのもあるかもしれないな、と思う。部屋にあるコミックはたぶん少女漫画の方が多い。

4「うた魂」朝日文庫

初めての映画ノベライズ作品。とはいっても以前のゲームシナリオ執筆の経験があるので作業としては同じ感覚。他の方が作った物語を自分なりにアレンジする作業というのは個人的には楽しくて好きだ。
映画の中では表現していなかった脇役の設定を一部変化させてサイドストーリーという形に昇華させて、本筋のストーリーに組み入れた。違和感なくまとまったと思うけど、映画も観て確認していただければなと思う。

5「東亰バンドワゴン」集英社文庫

子供のころ、家族と一緒に見て、家族の泣き笑いを感じていた〈ホームドラマ〉。もう単純にその世界をきちんと表現したいというだけで書いた物語が、まさかこんなに親孝行な子に育ってくれるとは思ってもみなかった。2008年現在、家族の生活を心配することなく執筆できているのは間違いなくこの作品のおかげ(それ以前は相当キツかった)。大好きだったホームドラマと、この作品を愛してくれたすべての人へお礼を。