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アンソロジー
文庫本
1
「空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction」講談社文庫
初めての文庫本。〈のっぺらぼう〉を視てしまう少年、というアイデアから始めた物語。構想中に父の死などがあり、自分が幼い頃を過ごしたカタカナの町〈パルプ町〉の思い出を整理してみるのもいいのではないかと思い、書き進めたもの。ミステリとかホラーとかファンタジーとかそういうジャンルにはまったく拘らずに書き上げた。良くも悪くも、すべてのものが詰まっていると思う。
2
「高く遠く空へ歌ううた pulp-town fiction」講談社文庫
デビュー作のシリーズでの二作目。前作の世界観を受け継ぎながら〈パルプ町〉の物語から〈解す者〉という運命を背負った者たちの物語にしようとした作品。続編として同じ舞台、登場人物を使って展開するのは簡単だったけど、あえてそこから出て、外へ向かってみた。
もちろんいずれまた「パルプ町」へ戻っていこうと考えている。まだ書きたい事はたくさんあるから。
3
「うた魂」朝日文庫
初めての映画ノベライズ作品。とはいっても以前のゲームシナリオ執筆の経験があるので作業としては同じ感覚。他の方が作った物語を自分なりにアレンジする作業というのは個人的には楽しくて好きだ。
映画の中では表現していなかった脇役の設定を一部変化させてサイドストーリーという形に昇華させて、本筋のストーリーに組み入れた。違和感なくまとまったと思うけど、映画も観て確認していただければなと思う。
4
「東亰バンドワゴン」集英社文庫
子供のころ、家族と一緒に見て、家族の泣き笑いを感じていた〈ホームドラマ〉。もう単純にその世界をきちんと表現したいというだけで書いた物語が、まさかこんなに親孝行な子に育ってくれるとは思ってもみなかった。2008年現在、家族の生活を心配することなく執筆できているのは間違いなくこの作品のおかげ(それ以前は相当キツかった)。大好きだったホームドラマと、この作品を愛してくれたすべての人へお礼を。
5
「ホームタウン HOMETOWN」幻冬舎文庫
〈家族〉というものに対して、僕は希薄な感情しかなかった。自分の家族を持った今はどうなのだろうと考えることも多い。そういう自分自身への問い掛けから浮かんだアイデアを形にしてみた。
故郷の旭川市も舞台になっているので、ちらっとデビュー作の舞台の〈パルプ町〉という単語も出てくる。独身の頃、札幌で一人暮らしをして、旭川へ帰るときのいろんな思いというのも、この本の中には詰まっている気がする。
6
「シー・ラブズ・ユー 東亰バンドワゴン」集英社文庫
堀田家は、東京のあの下町にあって、いつ行っても僕を温かく迎えてくれる。帳場で勘一じいちゃんが煙草を吸っていて、カフェでは藍子さんと亜美さんがコーヒーを淹れてくれる。「最近どんなことがありました?」と僕が訊くと、勘一じいちゃんは「そうさなぁ」と腕組みして、「そういやこんなことがあったな」と教えてくれる。いつまでもいつまでも、そうやって堀田家と、この本を愛してくれた皆さんと過ごせますように。
7
「東亰公園」新潮文庫
小学生のときに初めて観た洋画『Follow Me!』。その美しさや俳優たちに憧れたことをはっきりと覚えている。当時の担当のGさんと次作について話していたときにその映画を思い出し、それと同時に、東京に住むある人のことを考えた。その人が、木漏れ日の公園をゆっくりと歩く姿を頭の中に思い浮かべながら書いた作品。公園って、いいよね。いろんな思い出がある。
読者の心の中にある公園の思い出と、この作品が寄り添ってくれればいいなぁと思う。
8
「僕たちの旅の話をしよう」MF文庫
子供たちのお話を読みたい、という担当さんのリクエストでアイデアを考えはじめたときに浮かんできたのが〈青空に浮かぶ赤い風船。そしてそこに括りつけられた手紙〉という絵。そこに以前にあたためていた眼がいい少年と鼻が利く少女、耳の良い少年というアイデアを加えてできあがった物語。何度も言うけど僕はことさらに子供好きというわけではない。でも、子供が元気に遊び回っているのを見るのは気持ちが良い。だからそういう世界が長く続いてくれることを願うという単純な思いだ。ガキども遊べ。大人は頑張れ。
9
「スタンド・バイ・ミー 東京バンドワゴン」集英社文庫
シリーズ3作目の文庫化。色んな意味でこのシリーズのすべてのフォーマットがかたまった作品と言っていいと思う。同時に、この先のシリーズをどうやって展開しようかなと担当さんと話し合いながら進めた作品。時代がどんなに変わっても堀田家はずっと相変わらずなんだとも確信した。番外編の構想も同時に進んでいたので、ひょっとしたら折り返し地点の作品になったのかもしれない。堀田家を愛してくれる皆さんとともに、これからも書き続けていきたい。