単行本

?????????∞???√?¢???????????? 「空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction」講談社

〈のっぺらぼう〉を視てしまう少年、というアイデアから始めた物語。構想中に父の死などがあり、自分が幼い頃を過ごしたカタカナの町〈パルプ町〉の思い出を整理してみるのもいいのではないかと思い、書き進めたもの。
ミステリとかホラーとかファンタジーとかそういうジャンルにはまったく拘らずに書き上げた。良くも悪くも、すべてのものが詰まっていると思う。

高く遠く空へ歌ううた
「高く遠く空へ歌ううた pulp-town fiction」講談社

デビュー作のシリーズでの二作目。前作の世界観を受け継ぎながら〈パルプ町〉の物語から〈解す者〉という運命を背負った者たちの物語にしようとした作品。続編として同じ舞台、登場人物を使って展開するのは簡単だったけど、あえてそこから出て、外へ向かってみた。
もちろんいずれまた「パルプ町」へ戻っていこうと考えている。まだ書きたい事はたくさんあるから。

Q.O.L. 「Q.O.L.」集英社

前二作のような〈不可思議な〉物語とは別に僕の中にはもうひとつの傾向の作品があって、今回はそちらを行きましょう、と担当編集さんと話し合って書き上げた作品。三人の若者たち、というのが僕の中では永遠のテーマのようになっていて、おそらく今後もそういう主人公たちが多く出てくると思います。どんな傷を抱えても人間は生きるという選択をすべきで、そしてそれは光差す方へ進むことだという思いを込めた。

「そこへ届くのは僕たちの声」新潮社

〈遠い声〉という言葉がキーワードになった作品。核となった話は6、7年前にもうすでに自分の中にあったもの。それを担当編集さんのアイデアも加味しながら書き上げた。小さな頃に夢見た宇宙への憧れ、未来への思いというものも作品のベースになっている。あの頃に一緒に夢見た未来はいつ現実のものになるんだろうか。
たまにしか会えない、もう何年も会っていない友人たちへの思い、そういうのも僕の創作の根本にある。
そこへ届くのは僕たちの声

「HEARTBEAT」東京創元社〈ミステリフロンティア〉

〈十年後の約束〉というベタなものをキーにして、物語を作りたかった。話の核は前作と同じように、かなり昔に組み上げたもの。主人公たちに愛着があったので、それをベースにしてまったく新しい物語を書き上げた。
友情というものを通過しない愛情はない、と言ったのは誰だったか。どんなに時間が経っても忘れられない、消えない思い、というものを描きたかった。

「HOMETOWN」幻冬舎

僕個人は故郷の町にはいい思い出しかない。ただ、〈家族〉というものに対して、僕は希薄な感情しかなかった。自分の家族を持った今はどうなのだろうと考えることも多い。そういう自分自身への問い掛けから浮かんだアイデアを形にしてみた。〈家族〉を描かずに、それを語ることはできるだろうか。
暗闇の中を歩くような日々でも、生きるという選択をしたなら、足は自然と光を目指すはずだ。暗闇は光なくしては存在しないのだから。

「東京バンドワゴン」集英社

小さい頃に家族と一緒に居間で観ていた〈ホームドラマ〉が大好きだった。僕らより年代が上の人は、テレビを観ることが家族の団欒の姿であることを嘆いたが、今思えば、父や母や姉と一緒に笑って涙していた〈テレビの時間〉は紛れもなく家族の団欒の時間だったと思う。家族の笑顔や瞳をうるませた姿を僕は覚えているのだから。素晴らしいテレビドラマを作ってくれた多くの制作者の方へ、ありがとうの言葉の代わりに。

「キサトア」理論社

生まれた町は内陸で海のない町だったのだけど、祖母や従弟が海辺の町に住んでいたので、夏休みになるたびにそこを訪れていた。海に沈んでいく夕陽や潮の薫りがする海風が大好きだった。小さい頃にそこで聞いた話や海岸で遊びながら想像したことを思い出しながら、書き上げた物語。
何もかもがうまくいくなんてありえない。絶対にない。でも、そう願わなければ何のために生きていくんだろう。

「東京公園」新潮社

生まれて初めて見た洋画がとても印象に残った。見たことのない外国の街に、美しいヒロイン、音楽と映像。あまりにカッコよくて、映画の中に出てきたとある小道具を小学校に持っていったほど。その映画の雰囲気をそのまま自分の物語で書いてみたかった。うまくいったかどうかはわからないけど。ここで出てくる連中は皆、笑ったり騒いだり泣いたりして一緒に過ごしてきた仲間達。かけがえのない宝物を得た人生は、楽しいはずだ。

10「シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン」集英社

『東京バンドワゴン』の文字通りの続編。これだけ個性豊かな登場人物たちがいると、作者はもう何もしなくていい。ひょいと店先をのぞけば彼らがそこに暮らしていて、こちらはただただそれを書き留めていくだけだ。〈東京バンドワゴン〉を愛してくれた多くの方々と、この作品を世に出してくれた集英社のCさん、一緒に作り上げてくれた担当のWさんに愛を込めて。「LOVEだねぇ」

11「カレンダーボーイ」ポプラ社・牧野出版

ウェブという土台があって生まれたアイデアから作り上げた物語。たぶん、誰もが考える〈大人の意識で子供時代に戻れたら〉という願いを物語にしてみたけれど、そこから生まれたのはどうしようもなく切ない感情でしかなかったような気がする。戻れない、ということをしっかり抱えていないと、前は向けないものだと思う。子供の頃の自分に恥じない生き方を、今の僕はしているだろうか。していけるだろうか。

12「HEARTBLUE」東京創元社〈ミステリフロンティア〉

『HEARTBEAT』の続編。前作の副主人公格の男をメインに据えた物語。当初からシリーズ物にする予定だったので、前作でのラストはもちろんその布石。でも、今作でその布石はさらに先に持ち越される形になってしまった。それは意図したことではなく、彼らが自分たちで動いてしまった結果。それがいいことなのかどうかはわからないけど、彼らとまたいつか会えることを信じているし、楽しみにしている。

13「モーニング Mourning」実業之日本社

18歳から22歳の四年間。その頃を振り返るという作業はあまりしたことがなくて、そういうものを書いてみましょうかと担当さんと話しあって出来た作品。当時仲の良かった仲間は今ももちろん友人ではあるけれど、それほど頻繁に会えるわけじゃない。むしろ、会えない。それは物理的な距離の問題もあるけど、やはりそれからの二十数年間で、お互いに抱え込んでしまったものが多過ぎるからだ。それがどうしようもなく愛おしくも、悔しい。

14「スタンド・バイ・ミー 東亰バンドワゴン」集英社

さらに、またまた文字通りの続編。もはやここで書くことは何もない。前作と同じく僕はただ堀田家を訪れて、家族のみんなの様子を書き写すだけ。比喩でもなんでもなく、このシリーズを書こうと思っただけで、指はなめらかにキーボードの上を走っていく。できれば、皆さんに愛されたこのシリーズがいつまでも続きますようにと願う。皆さんの心の片隅にでもいつまでも残りますようにと願います。

15「21 twenty one」幻冬舎

学校の教室という空間で、同じ時間を過ごした仲間たち。気が合わない奴も、優秀な奴も、どうしようもない奴も、全員が同じ方向を向いて同じ空気を吸っていた。極端な話だけど、何十年後かに総理大臣とホームレスという立場になってしまったとしても、どこかでばったり会ったのなら、その瞬間にそこに戻っていってしまうはずだ。ほんの一瞬かもしれないけど、同じ笑顔で語りあえるはずだ。かつての仲間たちへの思いを描いてみた。

16「うたうひと」祥伝社

ミュージシャンになりたかった。中学一年のときにアコースティックギターを手にしてから十年間、そう思い続けてきて、諦めたのは二十四歳の時。その年に広告制作会社に入った。とことん音楽的な才能がなかった。それでも、十年間、歌を作り続けたことが、その後の生活を支えてくれた。広告の仕事も小説を書くことも、原点は〈歌を作る〉ことだった。そこから全部が生まれてきた。今も、これからも、歌を唄い続ける人たちへ、憧れとエールを込めて。

17「空へ向かう花」講談社

デビュー作から僕の作品の中には〈子どもと大人〉というものを描くことが多かった。それは意図的なものではなくて、何故そうなるのかいまだに自分でもわからない。わかっているのは、子どもは、大人が守らなきゃいけないということだけで、そこにきちんと向き合うつもりで書いた作品。ただ、その作業は本当に難しい。どこへ踏み込んで、どう表現していけばいいのか。たぶんこれからも考え続ける。子どもたちの未来に、花が咲き続けることを願って。

18「残される者たちへ」小学館

物語を構成するいくつかの要素は、別のところから持ってきたいわば原案付きの物語。小さい頃に見ていたSFなんかでは〈団地〉はとても象徴的なものだった。あの頃は確かにそれ自体が新しい生活の象徴だった。今は、廃虚になっているものもあるという。時の経過によるそのギャップに強く魅かれ、そこから立ち上がっていったストーリー。結局僕たちは〈町の子供〉であるんだという思いは昔から持っていた。そこに、何が見えるだろうか。

19「わたしとトムおじさん」朝日新聞出版

舞台になる〈明治たてもの村〉は北海道と愛知県にある同様の施設をイメージしたもの。古い建物に囲まれて暮らすのもいいなぁという願望からアイデアはスタートしている。連載時からはかなり加筆修正した作品で、担当のOさん、Yさんにはご迷惑をお掛けした。まだまだお前は甘いと情けなくもなった。
生きていくのは楽しいはずだという思いはいつもある。たとえ現実にはどんな辛いことがあったとしても、その思いを消してはいけないと思う。

20「ブロードアレイ・ミュージアム」文藝春秋

特に深い意味はないけど、20冊目の単行本。1920年代から30年代のアメリカ。かの国への憧れと、その時代のブロードウェイにたむろした小悪党たちを描き続けた大好きな作家への敬意も込めた一冊。デイモン・ラニアンというその作家の本は、今はもう古本屋でしか手に入らない。賑やかさと華やかさ、そしてどんな状況でも人生を謳歌するという姿勢と時代。そんなものを表現したかったのだけど、成功したかどうか。

21「マイ・ブルー・ヘブン 東亰バンドワゴン」集英社

本編ではなく、語り手であるサチとその連れ合いで店主である勘一がどのようにして出会い、夫婦になったのかを描いたスピンオフ作品。あるインタビューで〈お正月特番新春スペシャルドラマ〉と表現したけど、もうそのまんまのイメージで書き進めた(午後九時からの二時間半かな(^_^;))。あの時代のホームドラマへのオマージュとして書き始めたこのシリーズ。こうやって連ドラ形式とスペシャルドラマ形式で、何年も書き続けていければいいなぁと心から思う。

22「COW HOUSE」ポプラ社

いろんな年代の人たちが登場して楽しい物語を、というような話を担当さんとしていて、そのときにポンと浮かんできたのが〈みんな丑年〉という思いつき。それと、とても良い環境にある豪邸というのが組み合わさって出来上がった物語。僕の作る物語は大抵そうなんだけど、深いメッセージ性などはない。ただ、青空の下、牛が草を食む広い牧場を眺めてのんびりするような気持ちで楽しんでもらえたら。そんな感じで書き進めた物語。と言いながら実は物語に牛はまったく登場しない。

23「brother sun 早坂家のこと」徳間書店

三姉妹の物語。僕はきちんとしている人々を描くのが好きだ。よく毒がないとか見栄えが良過ぎるとか言われるけど、ちゃんと生活している人たちは皆いい顔をしているし、毒をことさら表に出すこともない。でもやっぱり生きていけばいろいろある。悩みや悲しみや辛さはあるけど、それにもきちんと対応していく、していける。早坂家の姉妹はごく普通の女性ばかりだと僕は思っている。美点があるとすれば、ちゃんと毎日を暮らしていけるところだと思う。

24「リライブ」新潮社

『小説新潮』で不定期連載していた〈バク〉という不可思議な存在を狂言回しにした短編集。テーマが毎回編集部から与えられ、そしてバクというシステムが決まっていたのでそれほど苦労しなかった。僕は広告制作やゲーム制作を経験してきたので、様々な〈縛り〉があることが苦にならずむしろ水を得た魚になるのかもしれない。収められた作品の中に、いくつか若い頃の苦い思い出をベースにしたものがある。もし、あの時にこうしていたら、と、今も思う。遠い日々の後悔を知ってくれている友たちは、今はどうしているだろうか。

25「DOWN TOWN」河出書房新社

河出書房新社さんのWEBサイトで連載していた物語を加筆修正。舞台は僕が故郷の旭川市で入り浸っていた喫茶店〈ぶろっく〉。常連や店の様子などは、ほとんどがノンフィクションと言ってもいい。文字通りの青春を過ごした場所の物語は、作家になったときからいつかは書こうと思っていた。でも、こういう形の物語になるとは予想もしてなかった。今も付き合いのある当時の常連にはもちろん報告済み。みんな苦笑いしてあることないこと書いた僕を許してくれた(^_^;)。単なるノスタルジーではなく、あの日の確かなものへ思いを込めて。